お米作りも3年目となり、作業においての大事なポイントはつかめてきたなぁと実感しています。でも、いもち病という病気が少し出てしまったり、未熟米が少し多かったりと、まだまだ技術・知識不足なところは多々あります。私たちがお米を栽培する上で、大切にしたいと思っていることは生態系豊かな土壌を目指していくこと。特に土壌に存在する菌などの微生物の世界が面白くて、ご存知の方も多いかも知れませんが、今回はそのような菌の話を紹介させていただきます。
土壌中に存在する菌根菌や根粒菌という菌は植物の根に入り込み、根と共生することで生きている菌です。植物の根から光合成で得たエネルギーをもらう代わりに、空気中や土壌中に散らばっている栄養分や水分を根に届けたり、病原菌に対抗したり、大雨や干ばつなど環境の急激な変化に耐える手助けもしていると言われています。さらには土壌中の菌が菌糸(糸状菌)を伸ばして菌のネットワークを形成し、様々な植物への栄養や水分の分配までも行っています。例えば、太陽の光も十分に届かないほどの木々がうっそうと茂る山の中の幼木に、大木が光合成で得たエネルギーを菌を通して幼木に分け与える仕組みがあります。いずれその大木が朽ちてしまったとしても、幼木が次の大木となり、生態系のバランスが維持されていきます。他にも、常緑樹と落葉樹が混在している自然林では夏の間は落葉樹から常緑樹へ、冬の間は常緑樹から落葉樹へと、エネルギーの受け渡しを土壌中の菌が担っています。
自然界というと弱肉強食で強いものが生き残るという印象がありますが、実は弱い者との共生や助け合いをしながらこの地球を生き抜いてきているのです。はるか昔から地球に生きてきた大先輩?である菌や植物の生き方に、私たち人間も学ぶべきことが多々あるような気がしています。
ありがたいことに、土壌の菌の研究をされている「菌根菌財団」と縁あってつながることができました。今後、てらぼら農園の菌根菌数を調べていただいたり、菌との共生を促す土作りや水稲栽培を試していきます。今後もてらぼら農園の田んぼで得た情報を発信していきますね!
てらぼら農園のある集落ではトンボが稲穂の上をたくさん飛び回り、雲が高くなり少しですが秋を感じるようになりました。各地ではまだまだ残暑があるようなので、皆さまお体に気を付けてお過ごしください。
菌のネットワークのお話、初めて聞くお話でしたので大変興味深かったです。
土壌中の菌が橋渡し役となって、植物たちの間にも対話や気遣いのようなものがあるのかなと
考えると、普段目にしている自然の景色も、少し違って見えるような気がします。
人の耳には聞こえなくても、足元では賑やかなやり取りがされているのかもしれませんね(^^)